2004年12月26日に起きたスマトラ沖地震・津波でもっとも被害を受けたアチェ状況と支援活動について、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)が伝えます。


by NINDJA
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●活動報告(2005年8月20日)

○「和平はヘルシンキの話」
 午前中、インドネシア民主化支援ネットワーク(ニンジャ)が支援している軍事作戦で夫を殺害された女性たちが、子どもたちへの奨学金を受け取るため、我が家に集まってくれました。ちょうど日本から学生が2人、ロスマウェに到着したので、彼女たちの体験について話をしてもらい(『アチェの声―戦争・日常・津波』をご参照ください)、ヘルシンキでの和平合意調印について聞きました。
 西バクティア郡のある女性によれば、軍事戒厳令後に復活した夜警について、村長が「もう和平が結ばれたのでは?」と尋ねたところ、治安部隊に「和平はヘルシンキの話。現場は違う」と言われたそうです。2000年5月に結ばれた「人道的停戦合意」のときも、「和平はジュネーブの話。ここは違う」と言われたという女性の話を聞いたことがあります。同じことの繰り返しにならないか心配です。
 彼女たちの村々には、まだ国軍詰所も残っています。以前のように表立った作戦を展開することはなくなりましたが、合同諜報部隊(SGI)が送られているようです。諜報部員は私服のため、その活動が見えづらいだけに、女性たちは不安を募らせています。
 和平が結ばれたといっても、女性たちのトラウマが癒されたわけではありません。日本のODAで建設された天然ガス工場内の国軍キャンプに拘束された経験のある女性は、いまも車の音を聞いたり、国軍兵士の姿を見たりすると、心臓がドキドキするといいます。頭痛もひどく、どんな薬を飲んでも治りません。彼女の2度目の夫も、国軍兵士を見かけると、体が震え、力が抜けてしまうそうです。体験を話してくれるとき、それが90年ごろという「昔」の話でも、声を震わせ、涙を流す女性もいます。このような人びとのトラウマを、和平はどう解決してくれるのでしょうか。

○シャリア警察の検問
 女性たちとに奨学金を渡し、みなで昼食を食べたあと、市場に行きました。その帰り、不思議な制服を着ている集団を乗せた警察のトラックを見かけました。そのときはわからなかったのですが、シャリア(イスラーム法)警察でした。
 インドネシア政府は、アチェ問題解決の一策として、アチェにおいてイスラーム法を適用しました。軍事戒厳令以前には、それほど目立たなかったのですが、津波後にロスマウェに戻ってきて、ジルバブ(ムスリム女性のかぶるベール)をかぶっていない女性たちを捕まえ、軍分区の前に集めて説教するとか、賭博をしていた人びとを鞭打ち刑にするとか、シャリア警察の話を聞くことが多くなりました。
 市民団体からは、イスラーム法適用について、「アチェ=イスラーム原理主義」のイメージを植え付け、国際的な支援を受けられないようにする政府の戦略だという批判は以前からありましたし、鞭打ち刑がおこなわれたときには、なぜ汚職をしている州知事などが鞭打ち刑にならず、小さな民だけ対象となるのか、という憤りの声も出ています。
c0035102_1225649.jpg さて、このシャリア警察が検問をしているというので、バイクに乗って見物に行きました。外国人でムスリムでもないわたしは、もちろんジルバブをかぶっていません。警察、シャリア警察、さらには見物人たちが見えてきた、と思ったら、笛を鳴らされ、止まるよう命じられました。日本人であり、ムスリムでもないことを説明すると、「なにをしに来たのだ?」との質問。「見物に来た」と正直に答え、写真を撮らせてもらうよう頼みました。
 警察、シャリア警察ともに、男性たちは「そうか、そうか」と歓迎(?)してくれたのですが、シャリア局に勤める公務員女性が近寄ってきて「みんなジルバブをかぶらなくてはならない。敬意を表さねばならない」と言ってきます。イスラームはそんな偏狭なものではないはず、というのがわたしの持論。しかも、わたしの宗教まで問われ、すっかり気分を害してしまいました。
 見物を終えてから、アチェ人の友人たち(記者や活動家)に一斉に携帯メッセージを送りました。「鞭打ち刑にして、って頼めばよかったのに」という冗談から、「大丈夫か? なにかできることはあるか?」という心配してくれたもの、さらには「そうやって外国人をアチェにいづらくさせているにちがいない」という陰謀説まで、とりどりの返事。我が家でも大笑いでした。
 それにしても、国軍兵士が連れている女性たち(現地妻とか)は、ジルバブもかぶらず、サングラスに厚化粧で、洋服も体のラインの出るものを着ているのですが、シャリア警察は彼女たちを捕まえるのでしょうか。
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by NINDJA | 2005-08-21 01:24 | NINDJAの救援活動