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2004年12月26日に起きたスマトラ沖地震・津波でもっとも被害を受けたアチェ状況と支援活動について、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)が伝えます。


by NINDJA
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●政府はアチェの兵士をコントロールできるか

 現在アチェでは、救援活動をおこなう兵士と、自由アチェ運動(GAM)の捜索にライフルを携帯する兵士とが入り混じって活動している。
 インドネシア国軍は、過去15年にわたりアチェを事実上占領してきた。今回の災害が起き、「国軍は人道復興支援団体として認められるか」という最大の疑問が出されている。「認められない」と人権団体は述べ、「認められる」と将校は反論している。
 救援活動に携わっているジャカルタの3ツ星クラスの将校は、新聞社に対し、「国軍は、今回のような大規模災害に対応できる設備とネットワークをもつインドネシア唯一の団体だ」と述べた。
 アチェにいる3万の兵士のうち、半数(主に国防および支援担当)は救援活動に、残りの半数(主に戦闘担当)はGAMの掃討に配置されている。
 救援関係者や人権グループのなかには、国軍が救援活動を妨害しているとの声もある。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、スシロ・ユドヨノ・バンバン大統領に対し、「国軍を救援物資配給の任務から外し、昨年から布いているアチェの戒厳令を無効にするように」との書簡を送った。
 一つ重要な点は、上層部の司令官が現場の悪漢兵士たちをコントロールしきれるか、ということだ。
 インドネシアでは歴史的に、ジャカルタ中央政府とそのほかの地域との対立は、軍事行動を引き起こしてきた。
 地方の国軍は、中央政府から十分に資金を得られず、独自に歳入源を見つける必要があったため、しばしば汚職に手を染めるようになった。
 非合法的な国軍ビジネスは、兵士同士の強い結びつき、ひいきで成り立ってきた。その結びつきは、兵士と中央司令部の結びつきよりも強いといわれている。よって、アチェの国軍に対する中央政府のコントロールは、傍から見えるほど強くないのである。多額の支援金の流入によって、兵士たちが司令官を無視し、汚職や犯罪に手を染めることも十分に考えられるのだ。(The Straits Times, 05/01/11)
by NINDJA | 2005-01-11 12:00 | 軍事作戦・人権侵害