2004年12月26日に起きたスマトラ沖地震・津波でもっとも被害を受けたアチェ状況と支援活動について、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)が伝えます。


by NINDJA
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○プソン・バル村でアンチャッ供与

 バンダ・サクティ郡プソン・バル村は、ロスマウェの魚いちばのすぐ裏、海沿いにある村です。プソン・ラマ村と並び、この地域での支援は、かなり困難です。 街中であることから、生計を立てるために移住してきた人も多く、もともとの居住者とのあいだの関係が悪い。土地がなく、人びとは海沿いの狭い土地に密集して、厳しい生活を送っている。いろいろな要因があるのでしょう。支援物資が足りなければ足りないで、誰がとるのかで争い、あまればあまったで、やはり誰がとるのかで争う。「プソンの人の頭は、石より硬い」――そんな話をよく聞いていました。
c0035102_3381764.jpg 今回、わたしたちが支援するにあたっても、なんの支援が必要なのか、実は2カ月以上話がまとまりませんでした。最終的に、一定数への支援がおこなえそうだと判断したのが「アンチャッ」と呼ばれる、魚を干す台です。1世帯につき5台ずつ、40世帯への支援が決まりました。さらにカドゥラをとる漁網の支援もすることになりました。
 本日、アンチャッをつくるための角材(1台3本、つまり600本)、網、釘を購入したのち、プソン・バル村で供与をおこない、これまで聞いていた話を、体感させられることになりました。
 「なんだって、40世帯だけなんだ?」
 「みんな、津波の被害者だ」
 「全員に、均等に分けてくれないと不平等だ」
 「暴動を起こすぞ」
 ありとあらゆる人びとから、そんな声が投げかけられます。いっぽうで、「あの人たちは扇動者」「あの人は、アンチャッで魚を干すことを生業としていない」「あの人は、アンチャッを50台、つくったばかり」という反論も出ます。
 わたし自身も、一人ひとりに、わたしたちの支援が、あくまでカンパで成り立っており、大量の資金を動かしているわけではないこと、それゆえに、より貧しい人びとを優先していること、すでにアンチャッを50台もっている人に支援すれば、やはり不平等であると思われることを説明しました。しかし、理解してくれているようにはみえません。
 あちらでも、こちらでも、人びとが声を上げている状態で、わたしは「今日の供与は中止! 村のなかでの調整が必要」と一言。しかし、けっきょくは供与がはじまってしまいました。
c0035102_3363194.jpg さらに、供与が一段落したところで、木材が足りなくなっていることが判明します。誰かがもっていってしまった、もっと直接的な言葉をつかえば、盗んでいったのでした。
 朝から、昼ごはんも食べられないまま活動し、夕方ぐったりして家に戻ると、村から3人の男性がやってきました。あとで集落長が「彼ら3人が騒ぐせいで、村の2000人がいつも飢えている」と評した男性たちなのですが、わたし自身が知らなかった反省材料を指摘してくれました。
 つまり、データをまとめてくれた村の女性の問題で、自身がアンチャッを受けただけでなく、夫が漁網を受けていたというのです。わたしたちの、これまでの原則は「1世帯1つ」ということでした。友人たちは、何度も何度も説明したようですが、その女性は黙って、夫の名前をデータに入れていたのです。
 「より貧しい人たちを優先」という原則を理解してもらえたとしても、一部で2種類の支援を受けている人がいれば、人びとが納得するわけがありません。わたしたちは、この女性に、人びとの前で漁網を返すよう提案しました。女性は、「あの人たちは扇動者だから気にすることはない」などと言って、絶対に譲ろうとしません。
 いっぽうで、この報告をまとめている2日まで、毎晩、毎晩、プソン・バル村の人びとが、我が家に来ます。商売をしている人が「漁網をほしい」と言ってきたり、データをまとめた女性の悪口を言いに来たり。いささか、わたしたちはストレス気味です。
 それにしても、支援の難しさを、つくづく感じさせられます。これまでも、村のなかにある貧富の格差の問題にどう対処するか、ということは話し合っていました。第一段階に貧困層を優先し、第二段階でさらに枠を広げたとする。新たに支援対象となる人びとが必要としているものは、第一段階の貧困層が必要としているものより、資金が必要となる可能性が高い。貧困層により少ない支援だなんて、あってはならない話だし、どうやって解決したらいいだろうか。わたしたちの宿題となっています。
 さらにプソン・バル村の経験も、新たな宿題となりました。
 ちなみに、プソン地域は、自由アチェ運動(GAM)の拠点と言われていた地域です。ロスマウェで聞こえる銃声は、だいたいプソンかウジョン・ブランという地域の方角から、というほどです。プソンの人たちがGAMメンバーになったら、絶対に譲らないし、たいへんだろうなぁと、しみじみ考えてしまいました。
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by NINDJA | 2005-04-30 23:35 | NINDJAの救援活動
 アチェおよびニアス島の地震・津波災禍の復興を受けもつアチェ復興局(BOA)長に、クントロ・マンクスブロト元鉱業・エネルギー相が任命された。このアチェ復興局は、大統領規則によって4月中旬に組織され、17名からなる顧問会議、および監視団から成る。政府は、近々41兆ルピア(43.1億ドル)のアチェ・ニアス復興予算を実施する。(Jakarta Post, 05/04/30)
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by NINDJA | 2005-04-30 12:00 | その他
 インドネシア政府が4月30日に出した復興案では、第二の津波を避けるため、昨年末の地震・津波で被害を受けたアチェ海岸部のほとんどの復興が禁止される可能性がある。ほとんどの村人は、第二の津波の危険性があるとしても、元の村への帰還を望んでいる。(AP, 05/04/30)
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by NINDJA | 2005-04-30 12:00 | 被災状況
 会計検査院(BPK)とアジア開銀(ADB)は共同で会議を開催し、海外の監査組織代表からなる諮問機関を設置、BPKと協力してアチェ支援金に関する監査をおこなうことを決定した。会議では、基金の支出について定期的な報告をおこなうこと、また、のちのち監査手続が妨害されることがないようアチェ再建計画に関する国内のコントロール・システムが事前に審査されることなどが提言された。
 ADB財務管理及び基金支出主任のファルザナ・アフメドは28日、監査プロセスをわかりやすくし、基金の使途のうち80~90%が説明のつくものになることが期待されていると述べた。
 また、ADBガバナンス・アドバイザーのスタファン・シナストームによれば、再建前の期間は汚職が起きる可能性がもっとも高く、国内コントロールシステム評価が重要であるとし、警察・検察に加えて汚職撲滅委員会(KPK)を組織、再建計画に汚職がないか調査をおこなっていくべきだという。。
 政府はアチェ再建計画案をまとめ、6月の計画開始に向け、アチェ復興庁を設置する予定である。(Jakarta Post, 05/04/29)
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by NINDJA | 2005-04-29 12:00 | 援助の問題
 本日(4月27日)、3回目の北アチェ県・ロスマウェ入りです。国際援助機関・外国NGOの選別がはじまっているため心配もありましたが、なんら問題なく、まずは一安心。この間の活動について、友人たちと話し合いました。以下、すでに流したものと一部重複することもありますが、2月からの活動について、まとめておきたいと思います。これまでの活動については、「ニンジャの救援活動」の項目をご覧ください。

(北アチェ県・ロスマウェ市東から)
○スヌドン郡
 自由アチェ運動(GAM)の拠点の一つと考えられているスヌドン郡では、被災者たちがあまり支援を受けられないなか、女性たちが塩づくりを再開しました。ニンジャは、この塩づくりに必要な機材の支援をおこなっています。ほぼ終了しましたが、海水を煮込むためのドラム缶を大量に購入できる場所がなく、いま企業なども含めて可能性を探っています。

*マタン・ラダ村+東ウレェ・ルベック村 52世帯:3246万6000ルピア
*トゥピン・クユン村 45世帯:2709万7500ルピア

 まだ支援をおこなっていない6カ村でも、被災者のニーズを聞いています。しかし、被災者たちは、これまで世帯数などのデータを渡しても、その後連絡がないままという経験があまりに多すぎて、わたしたちに対しても不信感をもっているようです。ただ、昨晩、そのうちの1カ村の人から電話があったようですので、もしかしたら、少しは信用しはじめてくれたのかもしれません。

○西バクティア郡
c0035102_0382194.jpg 3月の帰国前、はじめて西バクティア郡も津波の被害を受けているとわかり、急遽、訪問していました。まったく援助を受けておらず、わたしが最初の「外国人」でした。養殖池などでカニをとるブベェと呼ばれるカゴの支援要請を受けていますが、さらに、ロスマウェの事務所で世帯ごとに物資を梱包、緊急救援として物資を2回運びました。

c0035102_054269.jpg*パヤ・バトゥン村 26世帯105人
*ロッ・ウンチン村 44世帯197人
*ハグ村 148世帯614人
*ブランデ村 115世帯516人
計2064万6850ルピア

○タナ・パシール郡
 すでに3カ村で漁具の製作・支援が終わりました。うれしいことに、被災者たちは、いまでもロスマウェの事務所をたびたび訪ねてくれ、わたしたちの活動に参加してくれているそうです。西バクティア郡へ緊急支援をおこなった際には、タナ・パシール郡の被災者が、いっしょに物資の梱包や輸送をおこなってくれました。

*マタン・バル村
 サウォッ・サベェ8、サウォッ・シラン60:2729万4100ルピア
*東クアラ・クルト村
 サベェ23、シラン46:2479万9900ルピア
*クアラ・チャンコイ村
 ・サベェ28、シラン54、ジャラ4:2708万3200ルピア

 そのほか、マタン・ジャネン村からブベェ、アンベ(サウォッのようなかたちの定置網)、ジャラの支援要請があります。

○サムドゥラ郡
*ブラン・ニボン村
 サベェ45、シラン10、モスク用アンプ+ポンプ:1216万9280ルピア
*サワン村
 サベェ99、モスク用布:1778万6030ルピア
*プウク村
 サベェ23、ジャラ5:539万9900ルピア
*ブリンギン村
 サベェ8、ジャラ42:1502万9000ルピア
*マタン・ウリム村
 サベェ24、ジャラ16:977万6100ルピア
*クタ・グルンパン村
 サベェ8、シラン10、ジャラ36:1609万4000ルピア
*クタ・クルン村マタン・スリメン集落
 サベェ14、シラン8、ジャラ5、漁網3、干エビ用シート、枕、ポリタンク:817万1500ルピア
*西ランチャン村
 ジャラ31、水道設置:1634万6000ルピア

 クタ・グルンパン村の被災者の一人が、カドゥラという魚を獲るための漁網の支援を求めて、何日間も、ロスマウェのいちばにある漁具のお店に通って、わたしたちが来るのを待っていたそうです。うれしいような、悲しいような、複雑な心境です。わたしたちの支援は、日本のみなさんのカンパだけですから、諸外国政府やほかの援助機関と比べると、資金は微々たるものです。それでも、ほかに頼れる場がないということは、どういうことなのでしょうか。
 マタン・スリメン集落は、ハンセン病患者が「隔離」されてきた地域です。そのため仮設住宅への入居も拒否され、いまはある一軒家に避難しています。家には女性たちが住み、男性たちはその前でテント生活です。そのため雨が降ると、男性たちは塗れてしまうそうです。女性たちが悲しく思って、何とか屋根だけでも…と支援を求めてきました。屋根用のルンビアという木の葉を支援することになりました。
c0035102_056432.jpg 西ランチャン村は、サムドゥラ郡のなかでも最貧村です。男性たちは、結婚すると村を離れ、村に残っているのは年老いた女性がほとんどです。そのため、軍事戒厳令以降、義務づけられた夜警をおこなえる男性は、村にたった3人だけというぐらいです。この村は塩水しか出ず、子どもたちが学校へ行くのにも、人びとがお葬式などに行くのにも、マンディ(水浴び)すらできませんでした。そのため川から水道を引いてくることにしました。c0035102_0563277.jpg女性たちが水道設置を手伝い、ほぼ完成した状態です。最初に水が出たときには、みんな笑い転げたそうです。

○バユ郡
*ランチョッ村
 サベェ57、シラン52:2196万3300ルピア

○ブラン・マンガット郡
*ジャンボ・メスジッド村
 サベェ32、シラン17、ジャラ12、干エビ用シート、女性用サルン:1673万400ルピア
*ジャンボ・ティモ村
 サベェ22、シラン21、干エビ用シート:1031万700ルピア
*クアラ・ムラクサ村
 サベェ23、シラン28、ジャラ43:2623万3900ルピア

○バンダ・サクティ郡
*プソン・ラマ村
 ミルク・フィッシュ用漁網88、カドゥラ用漁網36:2592万4000ルピア

 現在プソン・バル村にアンチャッ(魚を干すシート)、クデ・アチェ村用に漁網支援の準備を進めています。

○ムアラ・バトゥ郡
*パンテ・グラ村
 カツオ釣り糸10:344万5000ルピア
*チョッ・スラニ村
 カツオ釣り糸10:344万5000ルピア

◎合計:3億6821万1660ルピア=約420万円
(2月前半の緊急救援、ロスマウェ事務所経費などを除く)
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by NINDJA | 2005-04-28 00:57 | NINDJAの救援活動
 国民福祉担当調整相次官ステジョ・ユウォノは26日、137の外国NGOが、アチェの再建に関わることを明らかにした。これは4月15日までに登録があった数だという。政府は、さらに14日間、外国NGOが申請をするための期間を設けている。政府は、政府との調整関係、財源などから、これらのNGOを選別する予定である。(TEMPO Interaktif, 05/04/26)
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by NINDJA | 2005-04-26 12:00 | 外国軍・援助機関の活動
 エンドリアルトノ・スタルト国軍司令官は26日、アチェで復興・再建に関わる外国NGOに対し、その活動内容を明らかにするよう求めた。「彼らの活動が、真に復興・再建に役立つなら、何のために活動内容を明らかにすることを拒否するのか。反対に、活動が明らかでないなら、何のためなのか」
 スタルト国軍司令官はまた、予算と人員が限られているため、外国NGOの安全を保証することはできないとも述べている。「彼らを守るためにはコストがかかるからね」(detikcom, 05/04/26)
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by NINDJA | 2005-04-26 12:00 | 国軍の援助妨害
 政治・法・治安担当調整相事務所包括的作戦代表ハルサントは25日、アチェのいくつかの地域で、非常事態が格下げになることを明らかにした。しかし自由アチェ運動(GAM)の活動が活発と考えられる地域では、依然として非常事態のままだという。格下げになる予定の地域は、シンキル県、中アチェ県で、大アチェ県、ピディ県、ビルン県は依然として非常事態が適用される。(Sinar Harapan, 05/04/26)
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by NINDJA | 2005-04-26 12:00 | 軍事作戦・人権侵害
 前フィンランド大統領で現在アチェ和平協議仲介役をつとめているマルティ・アハティサリは先週、ヨーロッパ連合(EU)大使に、インドネシア政府と自由アチェ運動(GAM)の和平協定を維持するため、EU平和維持軍のインドネシアへの派兵を要請したことが明らかにされた。
 しかし、EU外交政策部長付き広報官は、今秋に200人規模の平和維持軍をインドネシアに派兵するのは早まった考えであるという見解を示した。「現段階でEUがアチェに治安維持として介入するのは早計である。しかしわれわれはアハティサリ氏の提案に強い関心をもっている」
 先のインドネシア政府とGAMの和平協議では、双方は政治解決に向けて前進があったことを強調し、和平協定が締結された際には、その監視役としてEUや東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめとする地域連合の介入を歓迎することを表明していた。
 インドネシア情報相ソフヤン・ジャリルは27日、アチェに海外から平和維持軍を派遣することは選択肢にないときっぱり拒絶した。「もし和平協約が締結されたとしたら外部の監視チームは必要だろうが、それは海外の平和維持軍ではない」(Reuters, 05/04/26)
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by NINDJA | 2005-04-26 12:00 | 和平への動き
 国家災害救援調整庁副長官アルウィ・シハブ国民福祉担当調整相は24日、被災した地域での人道目的の外国人援助ワーカーがビザを14日間延長できると述べた。この延長は、アチェ州都バンダ・アチェ、北スマトラ州都メダンでおこなうことができるという。この14日間のあいだに外国援助機関から提出された申請フォームが考慮されることになる。先の地震で被災したニアス島も対象になる。アルウィ・シハブは、政府が外国援助機関の人道支援を引き続き歓迎すると述べている。(Jakarta Post, 05/04/24)
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by NINDJA | 2005-04-25 12:53 | 外国軍・援助機関の規制